あなたの伸び代はここにある! vol.6202
もう、とうの昔に終わった出来事でも、
そのとき辛すぎて感じきれなかった感情が、
記憶と一緒に冷凍保存されることがあります。
ある受講生が、
昔の失敗について話してくれました。
彼にとっては、
もう終わった過去の話のはずでした。
ところが、
話しているうちに涙が流れてきたんです。
本人がいちばん驚いていましたね。
これが「未処理の感情」なんですよね。
話す。
涙が出る。
改めて振り返る。
そうしているうちに、
冷凍されていたものが
少しずつ溶け始めました。
「出来事を覚えていること」と
「その出来事に伴う感情が処理されていること」は、
必ずしも同じではありません。
認知的には整理されていても、
感情としては十分に
触れられていないことがあるんですよね。
一時的には、
不安定さの中に戻ったような感覚も
あったそうです。
でもその間に、
家族との会話が深まり、
自分の弱さをさらけ出し、
何度も涙が止まらなくなった。
そして一週間ほど経った頃、
「スッと抜けた」
と話してくれました。
さらに興味深かったのは、
それまで持っていた「考え方」まで
変わったことです。
「私はこういうことが嫌い」
「こういう人とは関わらない」
「こうしておくのが正しい」
本人には、
自分の性格や価値観のように見えていたものが、
実は未処理の感情に触れなくて済むように、
自分を守るためにつくられた考えだったことにも
気づいたんですよね。
記憶の冷凍保存を維持するために、
その出来事と矛盾しない説明や信念を
自分の中につくることがあります。
それは当時の自分を守るためには、
必要だった世界の見方なのかもしれません。
でも感情がほどけてくると、
その考えまで必要なくなる。
「もう、そう考えなくてもいいんだ」
そう思えたとき、
とてもほっとしたそうです。
それは決して、
元の自分に戻ったわけではありません。
今の自分、
今の人間関係、
今持っている言葉の中に、
その経験をもう一度組み込み直した。
悲しみも、弱さも、怒りも含めて、
自分がもう一度、統合されたんです。
回復というより、
バージョンアップしたんですね。
未処理の感情って、
必ずしも本人が
「私はまだ傷ついている」
と自覚しているものではありません。
むしろ、
「もう何とも思っていない」
と思っている場所に残っていることがある。
そして厄介なのは、
課題そのものを封じ込めるというより、
「課題だと気づかない形」に
変換してしまうことなんだと思います。
悲しみが、
「私はこういうことが嫌い」に変わる。
怖さが、
「こうするべきだ」に変わる。
傷つきが、
「私は一人でやったほうがいい」に変わる。
そうなると本人には、
それが問題ではなく、
自分の性格や価値観や信念に見える。
だから、
自分の本当の課題に気づく瞬間って、
ものすごく大きいんですよね。
これまで見えなかった自分に
アクセスできるから。
嫌なものを嫌だと言える。
怒るべきときに怒れる。
弱さも見せられる。
人に頼れる。
そして、自分で選べる。
未処理の感情を処理すると、
ただ楽になるだけではなく、
自分が使える感情が増え、
自分が使えるエネルギーも増えていく。
自分の本当の課題に気づけることは、
自分を取り戻すためのチャンスで、
自身の伸び代なんだと改めて感じましたね〜。
