隣の老女 vol.6107
以前住んでいたマンションのお隣に、お一人暮らしの老女がいらっしゃいました。
ある日、その方が肋骨のあたりをとても痛そうにされていたので、
「大丈夫ですか?」と声をかけたんですよね。
すると、高校生の自転車と
ぶつかった話をしてくださいました。
驚いたのは、
その方が病院に行っていない
とおっしゃったことです。
理由を尋ねると、こう言われました。
「今から未来のある高校生に迷惑をかけちゃ可哀想でしょう」
「医療費を、もう未来のない自分に使うのはもったいないから」
私は時々、この話を思い出すんですよね〜。
その方は、
若い頃はきっとバリバリ働いてらっしゃったんでしょうね、
マンションを自分で買ったけど
東京に転勤になって、やっと住めてるのよ!と
おっしゃってましたから。
昭和の時代に、女性が仕事を持ち、
社会の中で自分の場所をつくってきた感じの、
優しいけど、凛とした雰囲気を持ってらっしゃいました。
で、先ほどの会話。
「自分の利益を優先するのは恥ずかしいことだ」
と私には聞こえたんですよね。
日本人の生き方だなぁって思ったんです。
相手の未来を思う。
迷惑をかけないようにする。
自分よりも、若い人を、社会を、まわりを先に考える。
それを何の悲観的な雰囲気もなく、
あっけらかんと実践なさっている。
もちろん、病院に行ってくださいと
お願いはしたんですが、
美しいなと、
そうありたいなと感じたんですよね〜。
